Make it in America

@kotobukiさんに教えて頂いたMAKEの創立者Dale Doughertyがホワイトハウスにまねかれた際の記事を翻訳してみました。

モノを作るということと政治、経済、教育の関係について示唆に富んでいます。興味をもたれた方は是非こちらもどうぞ。「コンヴィヴィアリティのための道具

教育、仕事、イノベーションに対し、拡大するmakerムーブメントの可能性

by

オライリーメディアの共同創設者である、Dale Doughertyは昨日「Champion of Change」の1人としてホワイトハウスに招かれるという栄誉を与えられました。ホワイトハウスのこの取組みでは「アメリカ国民を21世紀の挑戦へと向かわせる」人々を紹介しています。Dale Doughertyは「Make it in America」というテーマで評価され、国中から招集された人々とアメリカの製造業や雇用について討議を行いました。Tim O’ReillyはGoogle+にこう書いています。

「彼の業績は充分に賞賛に値する。Maker Faireに行けば、子供たちがモノを作りたいと思い、急速に科学や数学に興味を持つようになることが良く分かる。子供たちは目を光らせて、親を引っ張り回している。本当はエキサイティングで面白いはずのものごとをどれだけ、今の教育システムが退屈なものにしてしまったかも…。大きなアイディアを実現し、Daleと25年以上一緒に働いてきたことは本当に光栄に思っています。彼には非凡の才能がある。」

このイベントは WhiteHouse.gov/liveによってストリーミングされ、YouTubeにもこのイベント映像が公開されています。(Doughtyのコメントは58:18から)招集されたほとんどのスピーカーはエネルギーや交通、その他の経済的な課題について言及しましたが、Doughertyは異なる点について言及しました。U.S. CTOのAneesh Chopraは、「君らは、なんていうか、アンチワシントンを使命としながらも、気合いを入れてすごいことをやってる…」

「私は『MAKE』という雑誌を出版しています。この雑誌は21世紀版の『Popular Mechanics』のような雑誌で、趣味や遊びのためのモノのつくり方を紹介しています。それから、MakerFaireという地下室やガレージで作ったものや、テクノロジーをどのように活用したかをお互いに見せるために集まるイベントも行っています。テクノロジー的な興味からはじまり製造へと向かう流れのようなものがあるのです。ロボットを制作する人もいれば、建物を建てたり、新しい形の照明を製作したりと、頭のなかにしかなかったものを、実際にカタチにして新しいモノを生みだしているのです。」

「tinkeringについてコメントがありましたが、tinkeringはかつては、しっかりとした中流階級(middle-class)の技能でした。それは生活を改善する方法で、住環境を良くすることや車を修理することなど、我々は多くのことを自ら行うことができました。現在、tinkeringは失われつつあり、中心(middle)ではなくfringe)に追いやられているのです。 」Chopraの発言に応えDoughertyが説明を行いました。

ソフトウェアのコミュニティは、製造業に対して、「製造業の新しい捉え方」をはじめとして影響を与えています。MAKEやMakerFaireを見てみると、このムーブメントは新しい文化で、製造業の意味を再定義しようとしているように感じられます。製造業は指示されたことをやらされる場所ではなく、問題を解決したり物事を探求するための「クリエイティブな活動(creative enterprise)」を行う場所として捉えられます。

この新しい文化では、makerは自分自身の情熱と関心からモノを創ります。ロボットを製作する人は自分が欲しいから製作するのです。モノを作るということは、自分が何者で何に関心を持っているかを示す自己表現で、makerが集まることはmaker同士を刺激するだけでなく、さらにまわりの人までを刺激していきます。

ホワイトハウスのイベントについて、それからmakerムーブメントで何が起こっているのかを、 Doughertyを迎えてさらにインタビューを行いました。

今回の評価をどうお考えですか?

Dale Dougherty: makerムーブメントとmakerのcan-doスピリットに対する評価だと受け止めています。makerの行っていることを誇りに思っているので、政治や産業界のリーダーにメーカームーブメントについて話す機会を与えられたことに感謝しています。makerこそが「Champions of Change」です。

makerコミュニティはどのくらいの勢いで広がっているのでしょうか?

Dale Dougherty: この考え方の広がりを数字で捉えるのは難しいですね。大切なことは、この考え方が広がり続け、触発された人もどんどん増えているということです。

今、最もmakerムーブメントのなかで盛り上がっていることは何ですか?

Dale Dougherty: キットですね。私達はちょうどキットに関する”MAKE”の特集を仕上げました。キットは、パッケージされたコンシューマプロダクトに対するもう1つの選択肢としてとても面白いのです。キットは、パーツと説明書をもとに購入した人が制作します。既にかなりの種類のキットがあり、それらを今回の特集でまとめて紹介したいと思いました。この特集では、MITのリサーチャー兼、経済学者のMichael Schrangeが執筆した、キットがどのようにイノベーションを牽引するかに関する素晴らしい論文を読むこともできます。一番最初の蒸気機関はキットとして発売されていたことなどは私も知りませんでした。一番最初のパーソナル・コンピュータも同様です。さらに、最近ではMakerbotによる、同様にキット販売された3Dプリンターなどもあります。それから、Local Motorsによるキットカー、RallyFighterは彼らがアリゾナに新しく建てた小さな工場で組みたることができるというよな例、MITのJose Gomez-Marquezが執筆したDIYメディカル・デバイスに関する記事では、第三世界で個々の課題を解決する際に、医師たちがどのようにメディカルデバイスをhackされているかを紹介しています。

作ることは教育にはどのような意味があるのでしょうか?

Dale Dougherty: John Deweyの「learn by doing」というフレーズにあるように、作るということは学ぶことです。これは、禁じられているのでなければ、今は忘れられてしまった「経験から学ぶ」という古くからの教育上のフィロソフィーに基づいています。現在の教育システムの性質を変えることに非常に大きな可能性があると私は考えています。

makerムーブメントは政治に対してどのような影響を与えていますか?

Dale Dougherty:DIY精神は民主主義的な社会に不可欠なようです。特に継続的な変化に耐えなければならないような状況下では。Ralph Waldo Emersonの有名なエッセイ「Self-Reliance.」にあるように、自分自身や自分が所属するコミュニティに対して責任を持つということは非常に重要です。参加することなしに民主主義はあり得ない。私達は自分たちでできることはすべて自分たちで行うべきで、それを他人に期待することや他人がやってくれることを待ってはならないのです。変革を望むのであれば、自らが向上し実現しなければならいないのです。

ワシントンの会合のテーマは「Make it in America」でした。アメリカは製造業でリードしていますが、今はそのリードを失いつつあります。あるスピーカーが話していたように、私達は、製造業が「汚くて、危険で、消滅しつつある」というイメージが誤りであるということを証明して行かなくてはならない。

「モノを作る国でありたいかどうか?」というこの質問に対して「yes」と応える明確な理由は複数ありますが、最大の理由は、製造業は歴史的にみても中流階級のための雇用を創出し続けてきているという点です。

アメリカの製造業が重要だということを多くの人に理解してもらうにはどうすればよいのか?あるいは子供たちに製造業で働くということに興味をもってもらうにはどうすれば良いのか?と、質問されることがあります。私の答えの1つは、より多くの人に参加してもらうようにすることで、製造業というものを限られた人が行うものではなく、すべての人が行うものだというように捉えてもらうのです。自分自身をmakerとして捉えて欲しいのです。そう捉えることがmakerムーブメントへの開かれた招待状なのです。

少し質問を変えて、makerムーブメントは政治に対してどうのな影響を与えるべきだとおもいますか?Dale Dougherty:makerムーブメントには4つの可能性があると思います。

  1. オープンネス 何か行動をはじめると、他の人も同じことをしていることに気付きます。これがシェアすることや一緒に学ぶ機会を作ります。コラボレーションはmakerムーブメントなかで成熟しています。一緒にやりましょう。
  2. 進んでリスクをとる リスクを避けるのは止めよう。失敗を恐れることはない。自らの経験から学び一緒に前に進もう。最も大切なことは、反復し、より良いものを作り、そのなかで新しい方法を学んでいくことです。
  3. クリエイティビティ 多くの人を刺激するのはクリエティブな仕事ができる機会です。仕事をクリエティブなものと考えられなければ、恐らくそれを達成することは出来ないでしょう。
  4. パーソナル テクノロジーは個人的なものになりました。テクノロジーは自らのゴールにあわせて自由に変形して、利用できるようなものになったのです。作るということも個人的なことです。作ったモノによって自分自身を表現します。作ったモノが語り、そのモノのメッセージは広く共有されうるものになります。

これからどのようなことが起こるのでしょうか?DIYソーラー、バイオリアクター、車のhackとか…

Dale Dougherty:それは我々こそ知りたいことですね。私は未来について考えることにあまり時間を費やしません。むしろ、今、進めるべきことがたくさんありますから。

This entry was posted in Untitled. Bookmark the permalink.

Comments are closed.